July 26,2005

『白夜行』東野圭吾は癖になる!

東野圭吾『白夜行』 

白夜行』に出逢って東野圭吾が完全に癖になった。

854ページもある長編小説なのに止まらないのである。面白いからゆっくり楽しんで読もうと暫し考えたりするのだが、どんどん物語に引き込まれてしまいついに本が置けなくなってしまった。

一気に読み終えて、『白夜行』のこの圧倒的な衝撃の展開は高木彬光の「白昼の死角」以来であることを思い出した。トラブルを処理する観点には共通するある視点が感じられる。人間としての側面をえぐりそれを強烈な武器にしてしまう思考は普通ではそこまで考えを巡らせることなどないだろう。しばらくは脳裏に登場人物の残像が過って不思議な感覚に陥る。エンターテイメントとして文句無しの楽しめる小説である。

物語は昭和の大阪、建設途中で放置された廃ビルで一人の質屋の死体が見つかったことから始まる。この殺人事件の被害者の息子「亮司」と、完璧な容姿をした容疑者の娘「雪穂」を中心に19年間の軌跡として語られる。

個人的に気に入っているところは亮司と雪穂の描かれ方が淡々と行動の描写のみで始終しているところである。昔からこういう手法は大好きで、自分の中で登場人物の最適なイメージが容易に出来上がってくる。

もうひとつ、いくつもの事件が起こる中で、この二人は決して同じ場面に描かれることはない。紛れも無く亮司と雪穂は宿命的な強い繋がりで描かれているが、一番興味のある二人の関係性については想像しろということだ。読者の恋愛感の深さや広さがそのまま展開されてそれぞれの強烈な「想い」に繋がっていく仕掛けには上手さが光る。

尚、東野圭吾『白夜行』の続編として『幻夜』が書かれている。

<2006年1月17日追記>

直木賞に東野圭吾の「容疑者Xの献身」(文芸春秋)が選ばれた。これまでに5回直木賞候補になっていた。おめでとう!